キロロ リミックス

ビクターから現在発売中のキロロのベスト「キロロのいちばんイイ歌あつめました」に収められている「Best Friend〜UKULEMIX〜」を聴いてくれたヒトはいるかな?僕が手掛けたこの「リミックス」についての話。

最初にオファーを受けたとき「リミックス?オレに?」とイササカ面喰らってしまったのは事実。しかし新しいことに挑戦するのは面白いし、担当ディレクター氏が言うには「キロロの二人が今野さんのアルバムを気に入っている」とのことなのでお引き受けすることにした。

「Best Friend」はNHKのドラマ「ちゅらさん」のテーマ曲で、卒業式や結婚式で歌われるなど、国民的に浸透している曲らしい。「らしい」というのは僕が寝坊であまりテレビを見ないせいだけど、とにかくイントロを聴けば誰もが「ああ、アレね!」というような曲だということだ。そんな曲のリミックスを頼まれたワケ。
 
「リミックス」は曲の「再構築」のよーなことで、通常は「リズムを強調したもの」「踊れる/フロア映えするもの」になることが多い。つーか、そういう要請のもとに生まれたものだし。しかし自分の好きな「ダブ」(リミックスのルーツとも言える)には「アート」としか呼べないようなものもある。

「Best Friend」を改めて聴くと、この曲の魅力は「歌詞、メロディ、歌唱」がすべてだと思った。つまり「ディスコミックス」のよーなものを曲が求めてないし(たぶんキロロファンも)、オケ(バックトラック)を少々イジったくらいじゃ面白くない。それにそれでは自分が手掛ける意味が無い。なので「歌」を素っ裸にし、思いきって違った音像にしようと考えた。

すぐに思いついたのは曲のボトムを「ティコムーン」の二人に担当してもらうことだった。僕の好きな、ギターの影山君とハープのユカちゃんの静謐な響きのデュオ。ベースには伊賀航。ヴァイオリンとヴィオラには末永千湖、中島久美。シンセサイザー、弦のアレンジ、エンジニアに山本哲也。「ティコムーン」以外の四人は僕のソロアルバムにも参加してくれたメンバーだ。そしてウクレレ、ドラムが今野。ドラムはサンプリングして「貼った」のではなく、歌を聴きながら僕が全編「生」で叩いた。パンチ、直し無し!オカズナシ!

結果として「リミックス」というより「リアレンジ/リプロダクション」に近いものになったが、今回に限っては他のアプローチは僕には考えられなかったし、この曲に別の方向から光を当てられたのではないかと思っている。

現在育児休暇中というキロロのお二人、そしてキロロファンのみなさんにはこのリミックス、気に入ってもらえただろうか。なにせこの曲の「顔」とも言えるピアノをすべてとっぱらってしまったから。「子守唄」のイメージも込めたつもりです。