赤提灯研究

ocha-uke2009-03-02

ウクレレ片手に日本中を旅して、赤提灯で一杯やるのを無上のヨロコビとしている。この場合の「赤提灯」は比喩として用いているので、実際には提灯など灯ってなくともよい。地元の人に長く愛されていて、安くて、旨くて、気の置けない店なら。しかし同行人に自分の好みを伝えるのにいつも苦心する。
まず大前提として「上店は狙わない」というのがある。端的に言って上店とは「ずらりと並んだ銘酒を頼みつつ、旬のもの、地のものを鮮やかな包丁さばき、味付けで味わう」といった店。もちろんどなたかのご馳走、ご相伴にあずかるなら断る理由はない。喜んで!


しかしながら自分の求める店は、仕事帰りのサラリーマン/千円札を握りしめた年金暮らしのお年寄り/作業服関係のヒトなどがしょっちゅう来て飲み、酔える店。そしてこれが眼目なのだけど「あれもこれもある」より「これしかない」が好みなのだ。


ちなみに僕の「ALL TIME BEST 赤提灯」は地元国立、旭通りのモツ焼き「柴さん」である。第一、家から近い。安くてウマイ。近くて安いのもウマイの一部である。どんなにウマクても遠出して行列したり、払いが高かったりすればウマクない。敬愛する作家、内田百鬼園は「イワシがウナギより高ければウナギよりウマイ」と断じた。上等なウナギの蒲焼きが一串100円で毎日スーパーに山と積まれていれば「今月はお金ないからウナギで我慢して」という会話が成り立つ。
柴さんなんて季節感ゼロだもんね。十種ほどの串焼き、煮込み、湯豆腐(夏でも頼める)、酢イカにレバ刺し、お新香など。しかしそれで十分なのだ。ま、ここはご夫婦の人柄が最高のご馳走だけども…


かくして今日も僕は研究に余念がない。どんなことだって日々の積み重ねが大事。僕も「これしかない」歌い手になりたいものだ。ああ、酔うたかな…